こんにちは、「転職案内人」です。現役の薬剤師として働きながら、5店舗を管轄する係長をしています。薬剤師歴は12年、自分自身も2年前に転職活動を経験しました(最終的には現職に踏みとどまっています)。

夏のボーナスが出たこの時期、「もらってから辞めるのは非常識だろうか」「もらい逃げと思われないだろうか」と検索している方は多いと思います。冬の賞与の前後にも、毎年同じ悩みを抱える人が現れます。

この記事が少し変わっているのは、書いているのが退職の申し出を「受け取る側」だという点です。私は係長として、スタッフから「辞めたいんですが」という話を受け、人員補充とシフトを組み直す立場にいます。つまり、あなたがこれから切り出そうとしている相手側の人間です。その立場から、「実際どう思われるのか」と「損しない段取り」を正直に書いていきます。

実際のところ、ボーナス後の退職は多いのか

まず実態から。管理側として言うと、辞めていく人は実際に多く見てきました。そして、賞与の後に退職日を迎える人は珍しくありません。

ただし、世間がイメージする「ボーナスが振り込まれた翌日に、突然辞表を叩きつける」ような辞め方は、現場ではほとんど見ません。実際に多いのはこういうパターンです。

つまり、みなさん事前に計算して、計画的に動いています。「もらってから辞める」は、突発的な行動ではなく段取りの結果なんです。

これは裏を返せば、あなたが「ボーナスをもらってから辞めよう」と考えているとしても、それはまったく特別なことではない、ということです。受け取る側から見て、よくある普通の辞め方の一つです。

受け取る側の本音——「もらい逃げ」と思われるのか

では、管理側は内心どう思っているのか。ここは取り繕わずに書きます。

正直に言えば、「もらい逃げだな」という感じは、しないと言えば嘘になります。賞与が出た直後に退職日を迎える人を見送るとき、頭の片隅にその言葉がよぎることはあります。

でも、それで終わりです。「しょうがない」と割り切っています。

賞与は、それまで働いた期間への対価という面があります。支給日まで在籍して受け取っていくのは、働いた分を受け取っていくということでもある。だから、目くじらを立てるような話ではないんです。少なくとも私は、「賞与をもらって辞めた人」を後々まで悪く言うことはありません。

ここから読み取ってほしいのは、受け取る側ですらこの程度の受け止めだ、ということです。「もらい逃げと思われたらどうしよう」という罪悪感で動けなくなっている方がいたら、その心配は実態より重すぎます。気に病みすぎなくて大丈夫です。

マナーの実際——申し出はボーナスと切り離して、2〜3ヶ月前に

「じゃあ、いつ言い出せばいいのか。ボーナスの前だと気まずいし、直後に言うのは露骨な気がするし……」——ここで悩む方が多いのですが、受け取る側の本音はシンプルです。

退職の申し出のタイミングは、ボーナスとは関係ありません。いつ辞めるにしても、2〜3ヶ月前には言ってほしい。これに尽きます。

なぜ2〜3ヶ月なのか。シフトと人員を管理する側の事情をお話しすると、薬剤師が一人抜けるというのは、その店舗のシフトが組めなくなるということです。補充するには、社内で異動をかけるか、採用をかけるか。どちらにしても時間がかかります。そこから引き継ぎの期間も要る。逆算すると、2〜3ヶ月前に聞けていれば穏やかに回せるけれど、「来月で辞めます」と言われると、残るスタッフに無理を強いる組み方しかできなくなるんです。

つまり、管理側が本当に困るのは「ボーナスの後に辞めること」ではなく、「急に辞めること」です。賞与の直後に退職日を迎えるスタッフでも、何ヶ月も前から話してくれていれば、こちらは何も困りません。逆に、時期がいつであろうと、直前に言われるのがいちばんきつい。

だから、変に時期を読んで言い出すのを遅らせるより、辞めると決めたら早めに伝えるほうが、結果的に円満に運びます。切り出し方や引き継ぎの進め方は薬剤師の退職交渉と引き継ぎの進め方に詳しくまとめているので、実際に伝える段階になったら読んでみてください。どうしても自分から言い出せない状況なら、退職代行という選択肢もありますが、まずは早めに伝える段取りを考えるのが先です。

損しない段取り——カギは「支給日の在籍」

ここからは実務の話です。賞与を受け取って辞めるための段取りは、ポイントを押さえればシンプルです。

賞与は「支給日に在籍しているか」で決まるのが基本

一般的に、賞与は支給日に在籍していれば受け取れる扱いになっていることが多いです。たとえば6月末支給の会社なら、6月30日に在籍していること。逆に言えば、支給日より前に退職日が来てしまうと、その期間どれだけ働いていても受け取れない、ということが起こり得ます。

ただし、ここで必ずお願いしたいことがあります。賞与の支給要件は、会社の就業規則(賃金規程・賞与規程)で決まっています。「支給日在籍」が要件になっているか、他に条件がないか、必ず自分の会社の規定を確認してください。ここを確認せずに退職日を決めるのは、順番が逆です。

いちばん得なのは「有休消化中に支給日をまたぐ」形

そのうえで、段取りとしていちばん得なのは、支給日までの期間が有休消化になっている形です。

どういうことか。退職前には、残っている有給休暇をまとめて消化するのが一般的です。このとき、最終出勤日を早めに終えて、そこから退職日までを有休消化期間にする。この有休消化期間の中に賞与の支給日が入るように設計するんです。

カギになるのは、在籍の意味です。「出勤しているか」ではなく「在籍しているか」——有休消化中でも、退職日までは会社に在籍しています。だから、支給日に出勤している必要はなく、有休を消化しながら支給日をまたげば、賞与を受け取ったうえで、実際の勤務はもっと早く終えられる。体感としては「早く職場を離れられて、賞与も受け取れる」形になります。

まとめると、段取りはこの順番です。

  1. 就業規則で賞与の支給要件(支給日在籍かどうか)を確認する
  2. 自分の有休の残日数を確認する
  3. 支給日を有休消化期間でまたげるように、退職日と最終出勤日を逆算する
  4. そこからさらに2〜3ヶ月さかのぼった時期に、退職の意思を伝える

転職活動全体のスケジュールをどう組むかは、薬剤師の転職タイミングの考え方で季節ごとの動き方も含めて整理しています。

いちばん大事なこと——「もらうまで耐える」が目的化していないか

最後に、ここまでの話をひっくり返すようですが、いちばん伝えたいことを書きます。

私自身が2年前に転職活動をしたとき、ボーナスの時期は特に意識しませんでした。動きたいと思ったときに動いた、それだけです(そのときの経緯は私の転職体験談に書いています)。

なぜ意識しなかったか。シンプルに言うと、職場が嫌なときは、ボーナスをもらうのを待つこと自体が嫌になるからです。

「次の賞与まであと4ヶ月。それまでは耐えよう」——この考え方は一見合理的ですが、嫌な職場での数ヶ月は、想像以上に消耗します。毎朝の憂うつ、続くストレス。それと引き換えに受け取る賞与が、その消耗に見合うのか。冷静に天秤にかけると、割に合わないことは珍しくありません。

賞与をもらって辞めるのが得なのは、「それまで普通に働き続けられる状態」であることが前提です。すでに心身にきているなら、話は別です。お金より心身、この順番だけは崩さないでください。数ヶ月を消耗して耐えるくらいなら、早く立ち去ることも選択肢として持っておいたほうがいい。これは、賞与の損得を語ったうえで、それでも言っておきたいことです。

いま「辞めたい」という気持ちがどの段階にあるのか、まず整理したい方は薬剤師を辞めたいと思ったらから読んでみてください。また、在籍しながら情報収集だけ先に始めておくと、「賞与を待つ間」を消耗ではなく準備の期間に変えられます。転職サービスの選び方は目的別の比較記事にまとめています。

まとめ

要点を整理します。

ボーナスをもらってから辞めるのは、アリです。受け取る側から見ても、段取りを踏んでいる限り、責められるような辞め方ではありません。ただ、その段取りと同じくらい、「自分は待てる状態なのか」を確かめることも忘れないでください。この記事が、その両方の判断材料になればうれしいです。

次の一歩のために(あわせて読みたい)

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※本記事は運営者の管理職としての経験と一般的な情報をもとに整理したものです。賞与の支給要件・退職手続きの詳細は勤務先の就業規則により異なります。必ずご自身の会社の規定をご確認ください。