こんにちは。「薬剤師の歩き方」で記事を書いている、転職案内人と申します。現役の薬剤師で、いまは調剤薬局で5店舗を管轄する係長として働いています。薬剤師歴は12年になりました。

「薬剤師 面接 質問」「面接 対策」——そう検索して、この記事にたどり着いたのだと思います。面接の前って、本当に落ち着かないですよね。「何を聞かれるんだろう」「変なことを言ってしまわないか」「転職回数が多いけど大丈夫かな」——いろんな不安が、頭の中をぐるぐるしているかもしれません。

まず、これだけはお伝えさせてください。面接は「試験」ではなく「お互いの確認の場」です。 あなたが一方的に値踏みされる場ではなく、あなたも職場を選ぶ場でもあります。そう思えるだけで、肩の力は少し抜けるはずです。

そして、この記事には他のサイトにはない強みが一つあります。それは、私が応募者を面接する側でもある、ということです。私自身、2年前に転職活動をして応募者として面接を受けた経験があり、その一方で、いまは採用面接で応募者を見る側にも立っています。だから、面接官が口では言わないけれど、実際には何を見ているのか——そのリアルなところを、応募者であるあなたの味方として、本音でお伝えできます。

「採用する側の本音」と聞くと、少し身構えてしまうかもしれません。でも安心してください。これは「落とすための裏情報」ではなく、知っておけば余計な不安が消えて、あなたらしく話せるようになるための情報です。面接官が見ているポイントがわかれば、答え方のコツも自然と見えてきます。それでは、一緒に準備していきましょう。

面接官が本当に見ている、3つのこと

質問の答え方の前に、まず「採用する側が、面接で何を見ているのか」をお話しさせてください。ここがわかると、どの質問にも一本の軸が通った答え方ができるようになります。

私が面接で見ているのは、突き詰めると次の3つです。スキルや経歴は、実は3番目だったりします。

① 長く続けてくれそうか(定着)

正直に言います。採用する側がいちばん気にしているのは、「この人は、またすぐ辞めないだろうか」ということです。

薬剤師は採用にも教育にも、かなりの手間とコストがかかります。入ってもらって、調剤や監査の流れを覚えてもらって、患者さんや近隣の医療機関との関係にも慣れてもらって——ようやく戦力になったころに辞められてしまうと、現場は本当に困ります。だから採用する側は、スキルが高い人よりも、「うちで腰を据えて働いてくれそうな人」を選びたい、というのが本音です。

これは応募者にとって、実は朗報です。なぜなら、ずば抜けたスキルや華やかな経歴がなくても、「ここで長く働きたい」という気持ちが伝われば、それだけで大きなプラスになるからです。後で出てくる退職理由や志望動機の答え方も、この「定着してくれそうか」という視点を意識すると、ぐっと刺さりやすくなります。

② 一緒に働きやすい人か(協調性・コミュニケーション)

次に見ているのが、「この人と、毎日気持ちよく働けそうか」です。

薬局や薬剤部は、少人数で密度の高い職場です。だからこそ、人柄や雰囲気が職場の空気を大きく左右します。どれだけスキルが高くても、周りと衝突したり、報告・相談がうまくいかなかったりする人は、現場が回らなくなってしまいます。逆に言えば、笑顔であいさつができる、人の話をきちんと聞ける、質問に素直に答えてくれる——この当たり前のことができるだけで、面接官の印象はかなり良くなります。

面接で見られているのは、立派な回答そのものよりも、話しているときの表情や、受け答えのキャッチボールの自然さだったりします。完璧な台本を暗記するより、相手の目を見て、自分の言葉で話すこと。これが何より効きます。

これに関連して、印象に残っている話があります。以前、会社の経営層と話したとき、採用で大事にしている軸として「その人と、自分が友人になれるかどうか」を見ている、と聞きました。スキルや経歴はもちろん大事ですが、それ以前に「人として信頼できるか、一緒に時間を過ごしたいと思えるか」——経営に近い立場の人ほど、その“人としての相性”を大切にしている、という言葉がとても印象的でした。裏を返せば、面接ではうまく答えることそのもの以上に、誠実で感じのよい受け答えが効くということです。気負わず、まっすぐに向き合う姿勢こそが、いちばん伝わります。

③ スキルや経験が、現場で活きるか

3番目が、いわゆるスキルや経験です。もちろんこれも大事ですが、面接官が見ているのは「すごい経歴かどうか」ではなく、「うちの現場で、その経験が活きるか」という相性のほうです。

たとえば在宅医療に力を入れている薬局なら在宅の経験を、忙しい門前薬局なら処方せん枚数をさばいてきた経験を——というように、その職場が求めているものと、あなたの経験がどう噛み合うかを見ています。だから「自分には大した経験がない」と思っている方も、心配しすぎなくて大丈夫です。応募先がどんな薬剤師を求めているかを考えて、自分の経験の中から噛み合う部分を選んで話せばいいのです。


まとめると、面接官が見ているのは「①長く続けてくれそうか ②一緒に働きやすいか ③経験が活きるか」の3つで、優先順位もだいたいこの順番、という印象です。スキルより「またすぐ辞めないか・一緒に働きやすいか」を重視している——これが、採用する側に立ってみて改めて感じる、現場のリアルです。この3つを頭の片隅に置いて、次の「質問への答え方」を読んでみてください。

よく聞かれる質問と、その答え方

ここからが本題です。薬剤師の転職面接でよく聞かれる質問を取り上げ、それぞれ「面接官の意図」→「答え方のコツ」→「NG例」の順で整理していきます。意図がわかれば、答えは自然と組み立てられます。

退職理由・転職理由「なぜ前の職場を辞めたのですか?」

ほぼ確実に聞かれる、最重要の質問です。

面接官の意図:これは、先ほどの「①長く続けてくれそうか」を確かめるための質問です。面接官は「辞めた理由が、うちでも同じように起きないか」を気にしています。つまり、責めたいのではなく、「うちでは長く働いてもらえるか」を見極めたいのです。

答え方のコツ:ポイントは、不満を、前向きな希望に言い換えることです。たとえば「年収が低かった」なら「成果がきちんと評価される環境で、もっと力を発揮したい」。「人間関係が嫌だった」なら「チームで連携しながら働ける環境を求めている」。事実をねじ曲げる必要はありませんが、ベクトルを「逃げ」から「望み」へ向け直すだけで、印象は大きく変わります。そして、その望みが「御社でなら叶う」とつなげられると完璧です。

NG例:前の職場の悪口や愚痴をそのまま並べてしまうこと。「上司が最悪で」「残業ばかりで」と不満だけを語ると、面接官は「うちでも不満が出たら、また同じように辞めるのでは」と感じてしまいます。事情が本当につらいものであっても、面接の場では感情をいったん横に置いて、未来の話に変換する——これが鉄則です。退職理由の伝え方は奥が深いので、退職交渉・引き継ぎ完全ガイドでも掘り下げています。

志望動機「なぜ、この職場を選んだのですか?」

退職理由とセットで聞かれる質問です。

面接官の意図:「①長く続けてくれそうか」と「③経験が活きるか」の両方を見ています。面接官が知りたいのは、「どこでもよかったわけではなく、うちだから応募してくれたのか」という点です。

答え方のコツ「応募先ならではの特徴」と「自分の経験・希望」を結びつけること。「在宅に力を入れている点に惹かれ、これまでの服薬指導の経験を活かしたい」「教育体制が整っていると伺い、長く専門性を高めていきたい」というように、応募先の特徴を一つ挙げて、そこに自分をつなげると説得力が出ます。求人票や採用ページを事前にしっかり読んでおくと、ここで差がつきます。

NG例:「家から近いから」「給料が良かったから」だけで終わってしまうこと。条件面はもちろん大事ですし、本音ではそこが決め手のこともあると思います。でも、それだけだと「条件が良ければどこでもいい人」に見えてしまいます。条件の話をするなら、そこに「だからこそ長く腰を据えて働ける」という一言を添えると、ぐっと良くなります。

自己PR・強み「あなたの強みは何ですか?」

面接官の意図:「②一緒に働きやすいか」「③経験が活きるか」を確かめる質問です。すごい実績を聞きたいわけではなく、「うちの現場で、どう役に立ってくれそうか」をイメージしたいのです。

答え方のコツ:強みは、具体的なエピソードとセットで話すと一気に伝わります。「コミュニケーションが得意です」だけでは弱いですが、「患者さんが話しやすいよう、まず雑談から入ることを心がけていて、おかげで飲み忘れの相談をしてもらえることが増えました」と具体例を添えると、現場での姿が目に浮かびます。そして、その強みが応募先でどう活きるかまで言えると理想的です。派手な実績は要りません。日々の業務での小さな工夫こそ、現場で働く面接官には響きます。

NG例:「特にありません」と答えてしまうこと。謙遜のつもりでも、面接官は反応に困ってしまいます。また、強みを並べすぎて焦点がぼやけるのも避けたいところです。強みは一つか二つに絞り、エピソードで深掘りするほうが、印象に残ります。

「勉強させていただきます」は、実は言わないほうがいい

意欲を示すつもりで「勉強させていただきます」と言う方は多いのですが、採用する側の立場から言うと、この一言は実はおすすめできません。お金の知識を発信する人気YouTuber「リベラルアーツ大学」の両学長も同じことを話していて、私も現場で採用に関わる立場として、まったく同感です。

理由は2つあります。ひとつは、会社は「働いて貢献してくれる人」を求めて採用しているのに、「勉強させてください」と言われると、手間をかけて教える必要がある人に聞こえてしまうこと。もうひとつは、「勉強し終えたら、次の職場へ行ってしまうのでは」と、定着の不安につながってしまうことです。面接官がいちばん気にしているのは「長く続けてくれそうか」でしたよね。だからこそ、この一言は思わぬマイナスになりかねません。

もちろん、新しい環境で学ぶ姿勢そのものは大切です。ただ、伝え方を変えるだけで印象はまったく変わります。「勉強させていただきます」ではなく、「これまでの経験を活かして、早く戦力になれるよう貢献したいです」。学ぶ姿勢は、口で言うより入職後の行動で示せば十分です。面接の場では、“教わりに来た人”ではなく“貢献しに来た人”として、自分を伝えましょう。

転職回数が多い場合「転職が多いようですが?」

転職回数を気にしている方は、本当に多いです。でも、過度に恐れる必要はありません。

面接官の意図:やはり「①長く続けてくれそうか」です。回数そのものを責めているというより、「うちでも短期間で辞めてしまわないか」を確かめたいだけです。

答え方のコツ:大事なのは、それぞれの転職に一本の筋(一貫性)を通して語ることです。バラバラに見える経歴でも、「在宅を学びたくてA、その経験を活かして規模の大きいBへ」というように、自分なりのキャリアの流れとして説明できると、「考えて動いてきた人」という印象に変わります。そのうえで、「だからこそ、次は腰を据えて長く働きたい」と締めくくれば、面接官の不安はかなり和らぎます。回数の多さを隠したり言い訳したりするより、前を向いた姿勢を見せるほうが効果的です。

NG例:「前の職場も、その前もダメで……」と、毎回うまくいかなかった話を重ねてしまうこと。これだと「うちもダメだと思われるのでは」という連想につながってしまいます。過去の不一致は淡々と、未来への意欲は厚めに——このバランスを意識してみてください。

ブランクがある場合「しばらく現場を離れていたようですが?」

子育てや家庭の事情、体調などで現場を離れていた方も、安心してください。

面接官の意図:意地悪で聞いているわけではなく、「現場の感覚を取り戻せそうか」「働ける状況が整っているか」を確認したいだけです。

答え方のコツ「離れていた事情」よりも「これからきちんと働ける状態であること」を前向きに伝えることがポイントです。ブランク中に勉強会や研修に参加していた、最新の情報をフォローしていた、ということがあれば、ぜひ添えてください。なくても、「最初は教えていただきながら、早く現場の感覚を取り戻したい」という素直な意欲が伝われば十分です。薬剤師は復職している方も多く、ブランク自体はそれほど珍しいことではありません。

NG例:ブランクを過剰に申し訳なさそうに語って、自信のなさばかりが伝わってしまうこと。事情は簡潔に説明して、意欲と、働ける状況であることを軸に話すと、ずっと印象が良くなります。

前職の不満を、どう言い換えるか

退職理由とも重なりますが、面接全体を通して大事な考え方なので、もう一度だけ触れさせてください。

不満は、誰にでもあります。それ自体は悪いことではありません。問題は、それを面接の場でどう「翻訳」するかです。「残業が多くて嫌だった」は「メリハリをつけて働き、その分しっかり成果を出したい」へ。「裁量がなかった」は「もっと主体的に関わって、患者さんに貢献したい」へ。同じ事実でも、後ろ向きな言葉を前向きな言葉に置き換えるだけで、面接官の受け取り方はまったく変わります。これは嘘をつくこととは違います。あなたの本当の望みを、相手に伝わる形で言葉にする——ただそれだけのことです。

「最後に質問は?」逆質問で、ぐっと差がつく

面接の終盤、「最後に何か質問はありますか?」と聞かれること、ほぼ間違いなくあります。ここを「特にありません」で終わらせてしまうのは、実はとてももったいないです。

逆質問は、意欲をアピールできて、しかも職場との相性も確認できる、絶好のチャンスだからです。採用する側から見ても、良い質問をしてくれる応募者には「本気でうちを考えてくれているんだな」と感じます。そして応募者にとっても、入ってから「思っていたのと違った」を防ぐための大切な確認の場になります。面接は対等な確認の場——それがいちばん表れるのが、この逆質問です。

聞くと印象が良い質問の例

ポイントは、「ここで働くことを前提にした質問」だと、意欲が自然に伝わることです。同時に、これらは入職後のミスマッチを防ぐための、あなた自身にとっても大事な情報になります。

聞かないほうがいい質問

休みや待遇は、もちろん大事な情報です。確認すること自体は何も悪くありません。ただ、逆質問の一発目から待遇の話ばかりだと、「条件にしか興味がない人」という印象になりやすいのも事実です。聞きたいときは、仕事内容への質問を一つ挟んでから、「働き方についても伺えますか」と続けると、自然で印象も良くなります。なお、待遇の細かい交渉は、後で触れる転職エージェントに任せるのも一つの手です。

逆質問は、2つか3つ用意しておくと安心です。面接の中で疑問が解消されてしまうこともあるので、少し多めに準備しておくとよいと思います。

当日の準備とマナー——基本だけ押さえれば大丈夫

面接の中身に集中できるよう、当日の準備とマナーも簡単に確認しておきましょう。難しいことはありません。基本を押さえれば十分です。

マナーは、減点を防ぐためのものです。ここで奇抜なことをして加点を狙う必要はありません。清潔感と、時間を守ること、誠実な受け答え——この3つができていれば、十分すぎるほどです。

面接対策は、エージェントの力も借りられます

ここまで読んで、「やることが多いな」「一人で準備するのは少し不安だな」と感じた方もいるかもしれません。そんなときは、転職エージェントの力を借りるのも、賢い選び方の一つです。

一般的に、転職エージェントは求人を紹介してくれるだけでなく、面接対策まで手伝ってくれることが多いようです。具体的には、こんなサポートが期待できると言われています。

特に、条件交渉と日程調整は、働きながら転職活動をする人にとって本当に助かる部分です。自分で「給料を上げてほしい」と切り出すのは気が引けますが、間に入ってもらえれば角が立ちません。在職中に動くなら、こうしたサポートは積極的に使ってよいと思います。

もちろん、エージェントを使うかどうかは自由ですし、自分一人で進める方もたくさんいます。ただ、面接が不安なら、こうした「使える手」があることだけは知っておいて損はありません。(具体的にどう選べばよいかは、別の記事でも触れていく予定です。)

まとめ——面接は「試験」ではなく「お互いの確認」です

長くなったので、最後に大事なところだけまとめます。

最後にもう一度、いちばん伝えたいことを。面接は、あなたが一方的に裁かれる試験ではありません。 採用する側も、あなたという人を知りたいと思っているし、あなた自身も「ここで働きたいか」を見極める権利があります。お互いの確認の場——そう思えれば、必要以上に緊張せず、あなたらしく話せるはずです。

応募者として面接を受け、面接官として応募者を迎える、その両方の側に立ってきた立場から言えるのは、「うまくやろう」とするより「自分の言葉で誠実に話そう」とする人のほうが、ずっと印象に残るということです。完璧な台本は要りません。あなたが大切にしてきたこと、これからやりたいことを、自分の言葉で伝えてください。

あなたの面接が、納得のいく一歩につながることを、心から願っています。深呼吸して、いってらっしゃい。

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※本記事は薬剤師の転職・面接に関する一般的な傾向と現場での経験をもとに整理したものです。選考基準や面接の進め方は職場や時期により異なります。